工事完了報告書:無料雛形(テンプレート)付き!書き方や記載項目、建設業法まで解説
最終更新日:2025年03月05日

監修者: 株式会社PROthird
本記事では、工事完了報告書の概要や作成目的、具体的な書き方から記載報告まで解説します。
提出義務や保管期間など建設業法の観点も確認でき、無料で雛形(テンプレート)のダウンロードも可能です。
工事完了報告書とは
工事完了報告書とは、工事が完了したことを発注者へ報告し、工事内容や結果を記録する重要な書類です。
建設工事、リフォーム工事、造園工事など、あらゆる種類の工事完了後に作成されます。
作成目的と提出先について
工事完了報告書は、工事の完了を正式に確認し、発注者と請負者間の合意を文書で明確にすることを目的としており、後々のトラブルや紛争を未然に防ぐ効果も期待できます。
提出先は、原則として工事の発注者です。
発注者が個人であれば個人、企業であれば担当部署となります。
官公庁(公的機関)を相手とする工事の場合は、官公庁の指定する部署に提出することが求められる場合もあります。
項目 | 説明 |
---|---|
作成目的 | 工事完了の確認、発注者と請負者間の合意の明確化、トラブル防止 |
提出先 | 工事の発注者(個人・企業・官公庁など) |
重要性 | 工事完了の法的証拠、記録としての役割 |
工事完了報告書の提出義務と保管期間【建設業法】
工事完了報告書の提出義務は、法律で明確に定められているわけではありません。
しかし、契約書に提出義務が明記されている場合や、官公庁発注工事の場合は、提出が義務付けられていることが一般的です。
契約書をよく確認し、提出義務の有無を確認しましょう。
提出義務がない場合でも、工事完了の記録として作成・保管しておくことは、後々のトラブル防止に役立ちます。
保管期間は、契約書に記載されている期間に従うのが原則です。
※特に記載がない場合、税務上の観点から、最低でも5年間は保管しておくことが推奨されています。
建設業法では、工事記録の保存義務が定められており、それに準拠する形で保管期間を決定する必要があります。
項目 | 説明 |
---|---|
提出義務 | 契約書、官公庁発注工事などで規定される場合あり |
保管期間 | 契約書に準拠、または税務上の観点から5年以上推奨 |
関連法規 | 建設業法(工事記録の保存義務) |
工事完了報告書と工事完了届・作業完了報告書の違い
工事完了報告書と似た名称の書類として、「工事完了届」や「作業完了報告書」などがあります。
これら3つの書類は、それぞれ目的や内容が異なります。
工事完了報告書は、工事内容や結果を詳細に報告する書類です。
一方、工事完了届は、工事の完了を官公庁などに届け出るための書類で、比較的簡潔な内容を記載します。
作業完了報告書は、工事の一部工程が完了した際に報告する書類で、工事全体ではなく、特定の作業に焦点を当てています。
書類名 | 目的 | 内容 |
---|---|---|
工事完了報告書 | 工事内容・結果の詳細報告 | 工事概要、工程、費用、検査結果など |
工事完了届 | 工事完了の届け出 | 工事名、場所、完了日など (簡潔な内容) |
作業完了報告書 | 特定作業の完了報告 | 特定作業の内容、完了日、担当者など |
工事完了報告書の書き方
工事完了報告書は、記載する確認事項や資料を添付することで完成させていきます。
必要項目と資料の準備
工事完了報告書を作成する前に、まず必要な情報と資料を準備しましょう。
必要な情報は、工事契約書、設計図書、写真、検査記録などが該当します。
これらの資料を事前に準備することで、報告書を作成できます。
項目 | 確認事項・準備資料 |
---|---|
工事名 | 工事契約書に記載されている工事名を確認 |
工事場所 | 工事契約書、設計図書に記載されている住所などを確認 |
発注者 | 工事契約書に記載されている発注者の名称、住所、連絡先などを確認 |
請負者 | 工事契約書に記載されている請負者の名称、住所、連絡先などを確認 |
工事期間 | 工事契約書に記載されている着工日と竣工日を確認 |
契約金額 | 工事契約書に記載されている契約金額を確認 ※必要に応じて追記 |
工事内容 | 設計図書、工事写真、検査記録などを参照し、 具体的な工事内容を詳細に記述する準備を行う |
検査結果 | 検査記録、検査報告書などを準備する |
写真 | 工事前、工事中、工事後の写真を準備する。 特に、完成状態の写真は重要 |
図面 | 必要に応じて、設計図書、施工図書などを準備する |
必須項目の記入について
工事完了報告書で必須項目を記入し、工事内容や契約内容、自社特有のルールに従って、作成していきましょう。
工事名・工事場所・発注者・請負者などの基本情報
工事名、工事場所、発注者、請負者などの基本情報を正確に記入します。
これらの情報は、報告書を識別する上で非常に重要です。
誤字脱字がないよう、十分に注意して記入しましょう。
工事期間・契約金額・工事内容の詳細
工事期間には、着工日と竣工日を正確に記入します。
契約金額は、工事契約書に記載されている金額を記入します。
工事内容は、設計図書に基づき、具体的な作業内容を詳細に記述します(曖昧な表現は避け、具体的な数値や単位を用いて記述することが重要です)。
検査結果・完了日・担当者氏名など
検査結果には、検査記録に基づき、問題なく完了したことを明確に記載します。
問題があった場合は、その内容と対応状況を具体的に記述します。
完了日は、工事が完全に完了した日を記入(担当者氏名、署名、捺印)しましょう。
提出前の最終確認と提出方法
作成が完了したら、誤字脱字、記載漏れがないか、内容に矛盾がないかなどを丁寧に確認しましょう。
確認後、発注者に提出します。
提出方法は、契約書に記載されている方法(郵送、メール、持参など)に従いましょう。
提出後も、報告書の控えを保管し、必要に応じて活用しましょう。
工事完了報告書に添付する資料(写真・図面)
工事完了報告書には、必須項目以外にも工事完了の状況を証明する写真や補足資料や図面を添付することが一般的です。
写真撮影のポイント
写真は、工事の状況を客観的に示す上で非常に重要な資料です。
日付と場所がわかるように工事前、工事中、工事後の写真を撮影し、完成状態が明確にわかるように撮影しましょう。
また、写真の枚数も、内容を十分に説明できるだけの枚数を準備しましょう。
図面の準備について
設計図書、施工図書は必要に応じて添付します。
図面は、工事内容をより詳細に説明する上で役立ちます。
また、図面を添付する際は、図面番号、図面名などを明記し、図面の内容が報告書の内容と一致していることも確認しましょう。
添付資料の種類と目的
工事完了報告書には、報告書単体だけでは伝えきれない情報を補完する様々な資料を添付することが一般的です。
これらの資料は、工事の完了状況を客観的に証明し、発注者との認識のずれを防ぐ上で重要な役割を果たします。
添付する資料の種類と目的を以下にまとめました。
資料の種類 | 目的 | 注意点 |
---|---|---|
工事写真 | 工事の完了状況、仕上がり状態、施工内容などを視覚的に確認するため。 特に、重要な箇所や仕上がり状態がわかる写真が重要です。 | 複数枚の写真を添付し、日付・場所・内容を明確に記載すること。 また、写真が鮮明で、全体像と詳細がわかるように撮影することが重要です。 |
工事図面 | 設計図面との整合性を確認するため。 完成図面や、変更があった場合は変更図面も添付する必要があります。 | 最新の図面を添付し、変更箇所を明確に示すこと。 図面番号や改訂履歴を明記することが重要です。 |
検査成績書 | 工事の品質や安全性を確認するため。 第三者機関による検査成績書があれば、信頼性を高めることができます。 | 検査機関名、検査日、検査結果を明記すること。 検査成績書の原本またはコピーを添付します。 |
領収書・納品書 | 工事費用や材料費の支払いを確認するため。 特に、高額な材料や特殊な材料の場合は、領収書や納品書を添付することが求められる場合があります。 | 日付、金額、品名などを明確に記載すること。 原本またはコピーを添付します。 |
その他資料 | 工事に関する重要な情報を補足するため。 たとえば、変更指示書、協議記録、その他関係書類など。 | 該当する資料があれば、すべて添付すること。 資料の整理を行い、わかりやすくまとめて提示することが重要です。 |
写真・図面以外の添付資料【検査成績書など】
写真や図面以外にも工事内容や契約内容によっては様々な資料を添付する必要があります。
たとえば、以下の資料が挙げられます。
- 変更指示書:工事内容に変更があった場合、その内容を記録した書類。
- 協議記録:発注者と請負者との間で協議が行われた内容を記録した書類。
- 品質管理記録:工事中の品質管理状況を記録した書類。
- 安全管理記録:工事中の安全管理状況を記録した書類。
- 保証書:工事内容に関する保証内容を記載した書類。
また、資料は整理してファイリングし、報告書と合わせて提出することで、発注者側の確認作業をスムーズに行えます。
添付資料の有無や種類は、契約内容や工事の種類によって異なるため、事前に発注者と確認することが重要です。
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工事完了報告書の注意点・よくある質問
工事完了報告書を作成する際には、以下の点に注意しましょう。
記載漏れや誤りがあると、後々のトラブルにつながる可能性があります。
項目 | 注意点 |
---|---|
工事名・工事場所 | 正確な名称と住所を記載しましょう。略称を使用する場合は、正式名称も併記するとより安全です。 |
工事期間 | 契約書に記載されている期間と一致しているか確認しましょう。 |
工事内容 | 契約内容と照らし合わせ、漏れや誤りがないか確認しましょう。図面や写真などを添付し、わかりやすく説明しましょう。 |
検査結果 | 検査結果を明確に記載し、問題点があれば詳細に記述しましょう。写真や図面などを添付すると、よりわかりやすくなります。 |
費用 | 契約金額と一致しているか確認し、変更があった場合はその理由を明確に記載しましょう。 |
添付資料 | 必要な資料がすべて添付されているか確認しましょう。写真や図面は、鮮明でわかりやすいものを選びましょう。 |
署名・捺印 | 責任者による署名・捺印を行いましょう。電子署名を使用する場合は、その旨を明記しましょう。 |
不明な点があれば、発注者や関係者に確認することをおすすめします。
電子化での提出はできる?
近年では、電子化による提出が一般的になりつつあります。
電子化による提出が可能かどうかは、発注者との合意が必要です。
発注者から指定されたフォーマットや方法に従い、PDF形式などでの提出が求められることも増えているため、保存や送付方法には、セキュリティ対策も必要です。
電子化による提出を行う際には、以下の点に注意しましょう。
- データの改ざん防止
- データの送受信におけるセキュリティ
- データの保存と管理
訂正が必要な場合はどうすればいい?
誤りや記載漏れに気づいた場合は、訂正をおこないましょう。
訂正を行う際には、訂正箇所を明確に示し、訂正した日付と担当者の氏名を記載しましょう。
訂正箇所に朱書きを行い、訂正内容を明確にする、または修正箇所を明確にした新しい報告書を作成し、その旨を明記することが一般的です。
発注者への報告も忘れずに行いましょう。
工事完了報告書の保管期間の目安は?
工事完了報告書の保管期間は、法律で明確に定められていません。
一般的には、工事の種類や規模、契約内容によって異なります。
最低でも、工事完了日から数年は保管しておくことが推奨されます。
特に、重要な工事や、後々トラブルが発生する可能性のある工事は、より長期にわたって保管しておくことが望ましいです。
また、税務上の観点からも、適切な期間の保管が必要となる場合があります。
保管方法は、紙媒体での保管、電子媒体での保管、クラウドサービスの利用など、さまざまな方法があります。
データの改ざん防止と、アクセス制限を設けるなど、適切なセキュリティ対策を行うことが大切です。
まとめ
工事完了報告書は、工事の完了を正式に報告し、発注者と請負者間の合意を確認する重要な書類です。
正確な情報に基づき、漏れなく、丁寧に作成することが不可欠です。
特に、工事内容の詳細な記述や正確な工事期間の記載、そして検査結果の明確な提示が大切となります。
記載情報が不正確だと、後々のトラブルにつながりかねません。
また、写真や図面などの添付資料も、工事内容を正確に伝え、報告書の信頼性を高めましょう。
提出前に必ず最終確認を行い、不備がないか慎重に確認することも大切です。
監修者情報
株式会社PROthird清掃事業を軸に店舗開発、リニューアル工事等の空間リノベーション事業を展開しており、店舗作りから店舗運営までをワンストップで行う店舗トータルプロデュース企業
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